【誤診】脚の痛みの原因が子宮筋腫だったケース

今回ご紹介する症例は私の友人に実際に起こったことです。

脚の痛みの原因が、長年放置していた子宮筋腫でした。

大変レアなケースですが、誰にでも起こりえる危険なケースだと思いましたので、友人に許可を得た上でブログ記事にしています。

 

もしあなたが、

◆脚の痛みがある
◆痛みにともない、脚の一部、または全体が腫れたりむくんだりしている
◆子宮筋腫がある

このような症状に該当するようでしたら、できるだけ早く病院で精密検査をしてください。

そのまま適切な治療をおこなわないと、最悪、命の危険があるかもしれません。

 

昨年の秋、学生時代の友人の女性(40代)から、数年ぶりにSNSでメッセージがありました。

『久しぶり~、元気?ふくらはぎが筋膜炎症になって、なかなか良くなりません。何かアドバイスお願いします』

2週間前くらいに痛みが出て病院にいったところ、整形外科で【筋膜炎】と診断されて電気治療を受けたり湿布を処方されたりしたけれど良くならないとのこと。

腫れと、歩いたときのふくらはぎの張りがなかなかひかず、歩くと筋肉痛のように痛み、座っていたり寝ている時は痛みはないとのことでした。

この時は市販の鎮痛剤や漢方薬なども効く場合があるので試してみることや、施術で良くなる場合もあること、などをアドバイスしました。

 

~筋膜炎(きんまくえん)~

過度な運動などにより、足底やふくらはぎ、腰などの筋肉を包む膜が疲労することで起こる疾患。アスリートに多く見られ、炎症による筋肉のこわばりや痛みを伴う。安静にすることで自然治癒する場合が多いが、悪化すると筋断裂や筋膜断裂などを発症することもある。

コトバンクより

 

それから1ヶ月ほどしてまたメッセージが届きました。

ふくらはぎだけだったのが、ももまでひろがっちゃった!先週の金曜日に右足全体が痛くなって、いったん引いたんだけど、今は歩くと痛い・・・』

とのこと。

『ネットで色々調べたんだけど、私の症状これかもしれない』と教えてくれたのがこちら。

 

筋筋膜性疼痛症候群

筋筋膜性疼痛症候群(きんきんまくせい とうつうしょうこうぐん, Myofascial Pain Syndrome, MPS)とは、体の筋肉に時に激しい疼痛を生じる病気である。

Wikipediaより

 

いや、それうちの専門ですがな(笑)

『トリガーポイント・筋筋膜性疼痛症候群の治療なら任せろ!』ということで施術治療が効果があるかもしれないと説明すると、一度治療して欲しいとのことなので来院してもらいました。

 

実際に脚をみせてもらうと、右脚が全体に腫れています。

左脚と比べると見た目で1.2倍くらいの太さ。むくんでいるというより、パンパンに腫れている状態。

一目見て『これ筋膜炎や筋筋膜性疼痛症候群じゃないんじゃないか…?』と考えました。

これがもし本当に筋膜炎だとしたら感染症なども考えられますが、発熱などはないそうでした。

パンパンに張れているということは、筋肉のコリや張りではなく循環障害の可能性が高い。

触診してみると少し熱感がありますが、炎症というより筋肉がうっ血して張れ、熱くほてっているような印象。

リンパの流れが悪いのではなくて、静脈血の循環が悪くなっているようでしたので、血行を良くするように施術します。

施術すると少し腫れは引き、歩くときの痛みも軽減しました。

 

翌日に様子を聞くと、『歩いてるときの痛みは少しよくなったかも。でもまだパンパンに腫れてる』とのこと。

『これはやはり筋膜炎や筋筋膜性疼痛症候群ではなく、全く違う病気なのでは?』と思い、色々調べたところ、ぴったり該当する病気がありました。

それは【深部静脈血栓症】です。

 

深部静脈血栓症とは?

足から心臓へと血液を戻す血管(静脈)に血の塊(血栓)ができて詰まってしまう病気です。

ふくらはぎや足の表面にある静脈に血の塊ができても大きな問題とはなりにくいのですが、下腹部や太もも、膝の中心を走る深部静脈に血の塊ができた場合、重症となってしまいます。血の塊が足の静脈から心臓や肺に向かって流され、肺の血管に詰まった場合、肺塞栓症を引き起こします。

血管の病気を知ろう!予防にいかそう!血管の病気について 日本血管外科学会HPより

 

もし本当に【深部静脈血栓症】だとしたら大変です。

できるだけ早く血管の専門病院で精密検査を受けることをすすめました。

 

それから1週間くらいたって、メッセージが来ました。

『下肢静脈エコーやったら言われたとおり血栓がありました。軽い肺塞栓症もだって。とりあえず薬で溶かすことになりました』とのこと。

肺塞栓症もあったと聞いて本当にびっくりしました。

小さい血栓が飛んでいたそうですが、『肺に血栓がいくと即死もありえる』と医師には言われたそうです。

本当に命の危険もあったということです。

脚のどのあたりに血栓があったのか、CT画像を見せてもらったところ『脚の付け根から膝までびっしり』本人曰く『千歳飴のように』つまっていたそうです。

薬で血栓を溶かす治療は時間がかかりますが、しばらく続けるとのことでした。

 

そしてつい先日、またその友人からメッセージが届きました。

『今日2ヶ月ぶりに病院行ったの。そしたら私の血栓の原因はどうやら子宮筋腫のようだということが判明…。CTで見ると血管を圧迫するほど大きいみたい

以前から筋腫はあったそうですが、普段それほど症状はないので長年放置していたそうです。

ドクターに『脅かすわけじゃないけど、このあいだ同じように子宮筋腫がある方で、血栓ができて肺にとんで亡くなった方がいましたから』と言われ、婦人科で治療を受けることにしたそうです。

 

繰り返しになりますが、今回のケースは大変に稀なケースです。

ほとんどの子宮筋腫は、積極的な治療をおこなわなくても問題ないことも多いと思います。

しかし、思いがけない重大な病気を招く可能性もあるのですね。

 

記事のタイトルに【誤診】と入れましたが、これは結果的に【誤診】になってしまったということで、そのことを批判や非難する意図はありません。

今回のケースでは、はじめの段階で【筋膜炎】などの診断をくだすのはある意味当然でやむをえないと思われます。

しかしその診断にとらわれて、症状がなかなか改善しないのに他の病気である可能性を考慮しないと、重大な病気を見逃してしまうこともあります。

その結果、大変な事態を招いてしまうことになるかもしれません。

私自身も、このことを教訓に日々の治療に当たりたいと、あらためて考える次第です。